最新のWIP Magazine #11は、タンジブルカルチャー(有形文化)をテーマにしている。240ページ以上にわたって、アイテムやオブジェがいかにストーリーを語る手段となりうるか、記憶を解き放ち、アイデンティティを形成し、コミュニティが集うためのトーテムとなりうるかを探求している。
このテーマは、ロンドン、ニューヨーク、上海、パリのクリエーターたちに、影響を受けたと思われるアイテムを1つずつ紹介してもらうという、今号の中心的な企画に反映されている。回答はさまざまだが、テーマは浮かび上がってくる: イギリスのファッションデザイナー、ニコラス・デイリーは、彼の両親が1970年代から80年代にかけてスコットランドで経営していたレゲエクラブの先駆者的存在としてプリントされたTシャツについて語り、パリのストリートウェアレーベルPersonalityのパオラ・ブエンディアは、再利用されたトートバッグから作られたソファを披露。ラッパーのImplaccableは、ヒップホップの通過儀礼の斬新な(そして費用対効果の高い)方法を、彼自身の3Dプリント・チェーンで提案する。音楽評論家のJon Caramanicaは、UGKのBun Bと故Pimp Cから送られた彼の最も大切な2つの持ち物を紹介する。上海の出版社Same Paperは、演奏したことがないにもかかわらず、Tellerのチェロ・ブリッジを高く評価している。各アイテムは、より広範な会話や、一見シンプルに見えるこれらのオブジェクトが持つアイデアや思い出の探求のためのジャンプポイントの役割を果たす。
そしてこれらはすべて、今号の表紙に触れる前の話である。ひとつは、写真家ラモーナ・ジングルワンがソウルで撮影したもの。もうひとつは、ニューヨークを拠点に活躍するラッパーのMIKEが、長期にわたるヨーロッパツアーの最終日にパリで撮影したものだ。
今号のSkateboard特集は「イスタンブールからの絵葉書」で、ベシクタシュプラザでよく見られる彼のクルーとともに、トルコのスケートボード新時代の形成に貢献しているアデム・ウスタオグルがコンセプトと撮影を担当した。
ニューヨークでは、写真家メンギュ・チュウが、アジア人のアイデンティティを見つめ直し、アジア大陸への新たな視点を生み出す、書籍と雑誌の中間のような急成長中の出版物「FAR-NEAR」の創刊者、ルル・ヤオ・ジョイエロを捉えた。アーティストでライターのセス・プライスは、アーティストでライターのブラッド・フィリップスと対談。両者とも(時に不条理な)エフェメラを発表することを好み、それぞれの活動の共通点と特異性を探る。
サンファやヴェジンらとのコラボレーションで知られるミュージシャン、レア・センが生まれ育ったパリに戻り、デビュー・アルバムの前夜を振り返る。
防護服を着ないことで知られるリバプールのトクステスに住むジャマイカ人養蜂家、テクニクスの遺産を守ろうとするベルリンのターンテーブル・マニア、スケート・フィルマーのロマン・バタールのフランケンシュタインカメラセットアップなどなど。マルセイユを拠点とする写真集出版社Loose Jointsの10年にわたる仕事の詳細。また、ミラノのアートブックのブートレッガー、Erased de Kooningの絶妙にイリーガルな作品にも迫る。アーティストのソフィー・カールとの即席ディナー、Dj Mehdiの遺産についての考察、そしてポール・ダッラ・ローザによる「群衆の中での入札」のリビドナルなスリルについて、などなど盛り沢山の内容と成っている。
Carhartt WIPが年2回発行している”WIP Magazineの最新号 Issue #11は、
全国のCarhartt WIP Store、Online Storeにて7月10日(木)発売。